順天堂大学医学部物理の傾向と対策!(D組講師三宅 唯先生)

2024.12.01

今月は医学部専門予備校D組物理科講師の三宅 唯先生に順天堂大学物理の入試対策をお聞きしました。

順天堂大学の物理の出題に特別な個性はない

Q:三宅 唯先生よろしくお願いいたします。早速ですが近年の順天堂大学の物理には特別な傾向はありますか。

A:全問を完答するには制限時間が少々厳しい程度で,独特な出題上の個性はありません。他の大学入試にほとんど見ないような奇問,珍問の類の出題は極めて少ないため,難関大学に向けたオーソドックスな物理の勉強に十分な時間がとれていれば,かなりの高得点が期待できます。しかし,短期間の学習で簡単に高得点がとれるわけではないので勘違いしないでください。

普通の物理を解くためには成熟した能力を要する

Q:三宅 唯先生としては,その傾向にはどういった大学の意図が現れていると想像されますか。

A:順天堂大学は特別に変わった受験対策をしてほしいわけではなく「高校生として自然に勉強し,その内容をしっかりと理解して使いこなせればそれでよい」ということなのだろうと思います。ただそれは決して易しいわけではありません。普通に普通の物理を出題すれば十分に難しいからです。
他の大学は難度を落とすために設問に方針の誘導を与えます。しかし,順天堂大学の問題ではその傾向は弱く,概ね「計算方針は自分で見出せるのが当たり前」となっています。必要な梯子は自分で用意して自分でかける。極めて普通の物理の問題なのですが,それを解くには成熟した物理の能力を要するのです。さらに解決する方法が速やかに選べなければ制限時間内に完答することはできません。以上より,順天堂大学は成熟した物理の能力を受験生にストレートに求めていると言えます。

「浅く広く」の学習は順天堂大学には効果が少ない

Q:現在,まだ合格水準に足りていない受験生が順天堂大学医学部の合格水準に達するための努力としてはどういったものが考えられますか。

A:もう受験日が間もない受験生は,単元を絞ってできる限りを尽くしましょう。教科書の例題レベルの易しい問題をすべての範囲において広く浅く学習する,という方法ではおそらく一切得点に結びつきません。誘導なしに自ら解法を組み立てられる問題を1問でも多くすることを目標とし,確実に得点がとれる単元を広げる努力をしましょう。過去問で演習する場合は,得点できなかった問題の単元を,自分が受講した講義ノートや参考書などに立ち返って基礎理論から見直しましょう。さらに自分の持っている問題集などから類題を探し,演習しましょう。解法の普遍性を確認するためです。順天堂大学の問題は類題を見つけることが難しくないはずです。全く同じ問題はほとんど出ませんが,同じ単元からの出題はあります。物理は範囲が狭く,順天堂大学の入試問題は毎年ほぼ全範囲を網羅しているからです。解法に普遍性を持たせておけば,少しずれたテーマにも対応できます。
まだ受験日まで時間がある受験生も,誘導付きの易しい問題が解けて喜んでいるのではなく,常日頃から「誘導があるから解答できているだけではないか」「解答を書かされているだけの存在になっていないか」「主導権を有し独力で解答に至っているか」を意識して慎重に学習を進めてください。物理に近道はありません。結論に至る道筋が長いのは当たり前です。自然な物理の考え方を身につけてください。

合格者の多くは物理の「基礎」を熱心に学んでいた

Q:これまで順天堂大学医学部に合格してきた受験生にはどういった特徴がありましたか。

A:物理における「基礎」を大切によく勉強する子が多かったですね。「基礎」というのは単元の物理基礎ではありません。易しいということではありません。どちらかと言えば逆です。仕組みをバラしてそれぞれの性質とふるまいを整理していくことが基礎を学ぶということです。つまり物理の場合は「この世界は何でどうできているか」という話になりますから,「基礎」は極めて難しいものだということになります。過去の教え子の順天堂大学医学部合格者には,そういった物理の「基礎」に興味を持ち,物理の学習に時間を使い,熱心に学ぶ子が多かったと思います。

後悔しない試験とするために

Q:順天堂大学医学部の入試当日に気を付けてほしい点はありますか。

A:今目の前の試験問題に対して最善を尽くしてください。時間の使い方などを失敗して全力が尽くせなかった不合格が一番の後悔になります。順天堂大学は制限時間が厳しい傾向にあるため,自分にとって短い時間で得点がとりやすい単元の問題からテキパキとこなしていきましょう。どんな逆境でも奇跡が降りてくるのを信じるのではなく,ここまで勉強してきた自分自身を信じてあげてください。雨が止むのを祈るのではなく,雨でもできることをやりましょう。できない理由を探すのではなく,できることを探しましょう。必ずや頑張ったあなたに相応しい最高の成果が得られますよ。

自分が「楽しかった」と思えたことを大切に

Q:いよいよ冬期,直前期を迎えラストスパートに入る受験生に熱いメッセージをお願いします。

A:これまでの物理の学習において,あなたの知的好奇心をくすぐるようなたくさんの発見があったことでしょう。たとえ小さなことでもその価値は他の人に「くだらない」とか「たいしたことない」などと評価されるものではありません。あなたが「楽しかった」と思えたことに最高の価値があります。親や社会から褒められたからどうこうというものではありません。楽しかったことはこれから磨いていくことでまだまだ輝きを増します。やがてそれはあなたの才能として開花することでしょう。今のあなたにとっては小さな一歩であっても,それは未来のあなたの大いなる跳躍につながっているのです。
寂しいことですが学びの場所はいつだって通過点です。私達とともに学んだその軌跡を「あれが夢の架け橋であった」と思い出すときが来ることを切に願っています。人生に科学の視点を。いってらっしゃい。

三宅 唯先生のごきげんなおやつとは?

Q:最後に三宅 唯先生の好きなおやつを教えてください。

A:シャンパーニュです。

おやつ?おやつとは?なるほど…。おやつとは心の癒しであり往年の魂の親友という「概念」なのですね。単純にお菓子を想像していました。大きな勘違いをしていました。そして熱いメッセージの数々からもわかる三宅先生の受験生への並々ならぬ思い。アドバイスを通して順天堂大学の入試のみならずすべての大学入試に通用する物理への向き合い方がわかりました。受験生の皆さん,これを参考にすぐにでも物理の学習を始めましょう。三宅先生のおっしゃる通り,今の小さな一歩が未来の大きな跳躍となりますから。三宅 唯先生,ありがとうございました。引き続きD組の医学部受験生たちにも熱意あるご指導をよろしくお願いいたします。

医学部専門予備校D組では、現在の成績に関係なく、10人程度の少人数クラスで三宅 唯先生の物理の対面講義を受けることができます。
少人数制だからこそ可能な、きめ細やかな指導と、質疑応答の時間を豊富に設けることで、生徒一人ひとりの理解度を深め、着実に実力アップを目指します。
さらに、アットホームな雰囲気の中で、周りの生徒と切磋琢磨しながら学ぶことができるのもD組の魅力です。

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