東京医科大学物理(2024年度/一般)-入試情報
出題形式
選択肢(100%)
試験時間
理科2科:120分
難度(5段階)
3.7(やや難しい)
分量(必要時間)
78分(多い)
合格に要する正答率予想
60%
大問数
4問
出題内容
第1問:Na塩, 酸化数, 反応の速さ, 反応熱,
第2問:弱酸・強塩基の中和反応,
第3問:分液操作,
第4問:芳香族化合物の構造決定
求められているもの
化学を通して世界を捉えることができる学生。また、特に数理的な思考力が備わっている学生が求められている。
今月は医学部専門予備校D組化学科講師の枡見 康平先生に東京医科大学化学の入試対策をお聞きしました。
定番の問題と定番のようでそうでない問題
枡見 康平先生よろしくお願いいたします。早速ですが近年の東京医科大学の化学には特別な傾向はありますか。
大問構成や問題の量はここ数年ずっと固まっているので,時間配分などは過去問演習で感覚を掴みやすい大学です。その一方で,出題の中身は典型問題から初見の題材まで,基本的にはなんでもありです。大問1は例年,正誤問題が5題出題されますが,「各問の指示に該当するものが1つだけあるか,1つもない」という形式で出されるのが特徴です。大問2以降は,「典型問題のように見えて,解いてみるといつもと違う」「きれいに割り切れそうに見えて,よく見ると約分できない」というようなケースが紛れていて,解くのに骨が折れる問題が多いです。
常に注意深くあれ

枡見 康平先生としては,その傾向にはどういった大学の意図が現れていると想像されますか。
すべてが変化球なのではなく,市販の問題集に載っているような典型的な問題の中に,先ほどのような“よく見るといつもと違う”系の問題が仕掛けられていますので,問題を解くときに,常にアンテナ張った状態であることが要求されます。「これはいつも通り解き進めていいんだろうか…?」「何かトラップは仕掛けられていないだろうか…?」という注意を払いながら,制限時間内に解き切らなければなりませんので,解答することの負担はかなり大きなものになります。これは,スピードを維持しつつもエラーをしない,“タフな能力を持った受験生”を求めているという東京医科大学からのメッセージだと思います。
典型問題かそうでないか見を極める力を
現在,まだ合格水準に足りていない受験生が東京医科大学医学部の合格水準に達するための努力としてはどういったものが考えられますか。
まず,教科書レベルの内容をきちんと理解していることが前提です。ここでいう教科書レベルの内容とは,ただ「教科書傍用問題集の問題の答えを出せる」という意味ではなく,「用語の意味をきちんと理解して使える」「現象の仕組みを説明できる」ということをクリアした上で,「問題集で正答できる」という水準です。これは,医学部受験をするならばどの大学でも必要なレベルだと思います。
そのうえで,東京医科大学の問題で高得点を獲得するには,典型問題なのかそうでないのかを見極める判断力が重要です。そのためにはまず,問題文はいつも必ず全文読むことが大切です。日頃の学習でも,常にこの「全文読む」を徹底しましょう。また,状況を整理して,解いたことのある問題であると判断できた場合は,即答できるように標準的な問題集でパターンを把握しておきましょう。少しでも「いつもと違う」「やったことがない」という問題に出会ったときは,頭の中を切り替えて“どっしり考える”モードに入りましょう。初見の問題といっても高校化学の範囲から出題されることには変わりありません。焦らず,高校化学の範囲の知識で,問題文の状況からどんな結論が導かれるかを考える練習をしてみましょう。
正確さとスピードの両立が肝

これまで東京医科大学医学部に合格してきた受験生にはどういった特徴がありましたか。
東京医科大学に限らずですが,とにかく「ミスが少ない」「解答スピードが速い」受験生は強いです。解答の正確さとスピードのどちらを優先するべきかですが,まずはミスなく正答できることを優先してください。
ミスを減らすために何をするべきかですが,ミスをしたときに「次からは気をつける」というのは,何の対策にもなりません。日頃からミスをしたときに,問題文の読み違いなのか,途中式の書き間違いなのか,筆算での計算ミスなのか,符号のミスなのか…どんなミスをしたのか?を覚えておくようにしましょう。それに対して有効な手立てを考えることがミスを減らす第一歩です。正誤問題では選択肢に〇,×ではなくT,Fを付けていく,括弧の展開でミスをしがちな人はなるべく代入法を避けるなど,ミスには解き方の改善で対処しましょう。
ある程度ミスが減ってきたら,スピードを意識していきましょう。私はよく授業中に半分冗談,半分本気で「計算するから計算ミスをする。最初から数値を暗記しておけばミスしないし,なにより速い。」と言うのですが,いままでの合格者を見ていると,よく出てくる定数や分子量,異性体の構造などを暗記している受験生は多かったですね。これらを暗記しておくことは化学の理解とはあまり関係がないところですが,入試問題を制限時間内に解き切るという点では非常に有効です。
臆病なくらい慎重に!
東京医科大学医学部の入試当日に気を付けてほしい点はありますか。
制限時間が厳しいので,大問1から解くのではなく,自分の得意な単元,解けそうな問題から取り掛かるようにしてください。大問1の正誤問題は結構難しいので,思っている以上に時間を使ってしまうと思います。あとは,マークシートを塗る前に設問の指示を必ず確認すること。基本的に一度塗ったマークは書き直さないつもりで,ボールペンで書くときのような慎重さを持って臨んでください。とにかく本番は臆病と言えるくらい慎重であって正しいと思います。
「全力」の出し方

いよいよ冬期,直前期を迎えラストスパートに入る受験生に熱いメッセージをお願いします。
「全力を出す」って文字で書く分には簡単ですが,実際,「全力を出す」ってどういうことなんでしょう。睡眠時間を極限まで削って勉強することでしょうか?ちょっと違う気がします。「全力を出す」というのは「どうすれば最も良い結果を得ることができるか?」を考えて実行することだと思います。皆さんの今の目標は,医学部入試に合格することですよね。合格に近づくためにはいま何をするべきなのか,それだけを考え抜いて,机に向かうことが全力を出すってことだと思います。全力で取り組んでいれば,「合格しなかったらどうしよう…」なんて不安な気持ちになる暇もないはずです。全力を出すコツは,他のことを考えないことです。大丈夫。きっと上手くいく。
枡見 康平先生の好きなおやつ

最後に枡見 康平先生の好きなおやつを教えてください。
甘党なのでコンビニスイーツをよく買います。最近はファミマのナッツのタルトがお気に入りです。
なんと甘党でしたか!確かに枡見先生のまとっている雰囲気にはそれっぽいマイルドさがありますからね。そしてサクサク感とナッツの歯ごたえ。丁寧な分析と優しさあふれるアドバイスの中にも,どこか冷静で一歩引いた視点をもつ枡見先生自体がナッツのタルトみたいなものなのかもしれません。D組でもいつも受験生に気さくに接し,受験生の笑顔にあふれる講義をしてくださっていますからね。枡見 康平先生ありがとうございました。引き続きD組の医学部受験生たちにも熱意あるご指導をよろしくお願いいたします。
医学部専門予備校D組では、現在の成績に関係なく、12人以内の少人数クラスでこのような専門性の高い優秀な講師の対面講義を受けることができます。少人数制だからこそ可能な、きめ細やかな指導と、質疑応答の時間を豊富に設けることで、生徒一人ひとりの理解度を深め、着実に実力アップを目指します。さらに、アットホームな雰囲気の中で、周りの生徒と切磋琢磨しながら学ぶことができるのもD組の魅力です。