東海大学医学部化学(2024年度/一般)-入試情報
出題形式
選択肢
試験時間
70分
難度(5段階)
1.9(やや易しい)※
分量(必要時間)
70分(標準)※
合格に要する正答率予想
76% ※
大問数
5問
出題内容
金属元素の性質, 電離平衡, アルミニウムの製法と性質, 炭化水素の異性体, 合成繊維
求められているもの
幅広い分野から出題されるが,ほとんどは典型問題である。ごく一部,知識問題の難易度が非常に高い場合があり,過去には法則の名称を英語で解答する問題が出題された例もあるので,教科書を隅々まで読み込んでいる学生が望まれる。
※難度、分量、合格正答率、は講師コメント・編集部推定。
今月は医学部専門予備校D組化学科講師の南雲久好先生に東海大学化学の入試対策をお聞きしました。
「使える知識」で挑む東海大医学部化学:論理とスピードの勝負
南雲久好先生よろしくお願いいたします。早速ですが近年の東海大学の化学には特別な傾向はありますか。

東海大学医学の化学は、単なる暗記ではなく「処理力と読解力」が試される試験です。特に理論化学の計算問題は、医学部らしい論理性とスピードが求められます。構造式や反応式の記述も含まれるため、今まで自分で計算してきて保有している知識を「使える形」にしておくことが重要です。
この試験は、知識の勝負であると同時に戦略の勝負でもあります。必ず、自分の解いた問題と同様な問題が現れるので、焦らず着実にそして何よりも自分のペースを大切にしながら、合格への道を歩んでいきましょう。
構造式に宿る判断力・医学部化学が映す未来の医師像
南雲久好先生としては,その傾向にはどういった大学の意図が現れていると想像されますか。

医学は単なる知識の集積ではなく、複雑な情報を敏速かつ論理的に処理する力が求められます。計算問題や読解力を問う設問は、将来の医師としての「判断力」「応用力」を見極める意図があると考えられます。構造式・反応式の記述を通じて、受験生が知識を「使える形」に変換できるかどうかを試している。これは、単なる暗記型の学習ではなく理解と応用を重視する教育方針の反映です。自己の知識をいかに応用するかが必要です。
試験が「戦略の勝負」であるという点は、限られた時間内で優先順位を判断し、冷静に対応する力を評価していることを示唆しています。これは医療現場での的確な判断力に通じるものです。
理論・有機・無機を制す! 医学部化学 70 分の勝負術
現在,まだ合格水準に足りていない受験生が東海大学医学部の合格水準に達するための努力としてはどういったものが考えられますか。
・理論化学:出題の約半数を占め、計算問題が中心です。特に「電離平衡」「熱化学」「気体の法則」「結晶構造」などは頻出であり、計算力と理解力の両立が求められます。
・有機化学:構造決定・異性体・反応式の記述問題が多く、教科書レベルの知識を正確に運用できる力が必要です。
・無機化学:出題頻度やや低めですが、系統分析・沈殿・色の識別など、基本事項の暗記が得点に直結します。
試験時間は70分と短く、計算問題が全体の4割以上を占める年もあります。
有効数字や小数点処理に慣れ、スピードと正確の両立を目指す。
答案の減点を防ぐため、正確な表記・語句の使い方を意識しましょう。
化学は他科目と比べて平均点が高くなる傾向があり、偏差値方式での採点においては「高得点必須」です。苦手分野を放置せず、穴を作らない学習を徹底することが合格への鍵です。問題的には簡単なものが多いため、計算ミス、書き間違えは避けましょう。
合格者の特徴:標準問題への強さと医療への使命感
これまで東海大学医学部に合格してきた受験生にはどういった特徴がありましたか。

難問奇問よりも、標準レベルの問題を確実に得点できる力を重視、特に理系科目では、教科書レベルの理解を深め典型問題の反復演習を怠らない姿勢が見られます。医師としての資質を問われる面接に備え、医療倫理や社会問題への関心を持ち、自己表現力を磨いていて、小論文では、倫理的構成力と医学的視点を持った文章力が評価されていると思います。地域枠や奨学金制度を活用する受験生も多く、医療への使命感や将来像を明確に持っている傾向があります。神奈川県内の進学校出身者が多い一方で、地方の公立高校や中堅校からの合格者も一定数存在し、学力と志望動機の強さが合否を左右していると考えられます。東海大学の救急では、「来るもの拒まず」全ての患者を受け入れる。ということで、全ての人に開かれた医療を目指す人材が求められています。
試験当日の注意点:冷静さと時間配分
東海大学医学部の入試当日に気を付けてほしい点はありますか。
緊張は自然な反応です。深呼吸してこれまでの努力を思い出しましょう。
「できることはやった」と自分に言い聞かせることで心が落ち着きます。
問題文は丁寧に読み、設問の意図を正確に把握すること。
時間配分を意識し、最後に見直しの時間を確保できるようにしましょう。
気持ちに余裕が大切です。
学力と使命感で挑む医学部入試・東海大学に見る選抜の本質
受験生に熱いメッセージをお願いします。

これまで十分な教材に取り組み、復習を重ね、知識をしっかりと身につけてきたあなたは、どうか自信を持って試験に臨んでください。その自信は、これまでの努力の積み重ねによって培われたものです。自分を信じる力が、試験本番での集中力と冷静さを支えてくれます。
試験中は焦らず、設問の意図を正確に読み取ること、見直しの時間も確保できるようペース配分を意識しましょう。
冷静と自信が導く合格への一歩
最後に南雲久好先生の「講師として大切にしている価値観」を教えてください。
私が講師として最も大切にしているのは、「生徒と共に日々向上していく姿勢」です。「共に歩む」ということは、単に知識を伝えるだけではなく、学びの課程において私自身も成長し続けるという意志を持つことだと考えています。
この姿勢は、目に見える形で示すのが難しいものですが、私は授業中、基本的には座らず立ったまま指導を行っています。
それは、生徒が真剣に学んでいる中で、講師である自分だけが楽をしてはいけないという思いの表れです。私自身も、生徒と同じ目線で努力し共に歩んでいることを態度で示したいと考えています。
このような姿勢が、生徒との信頼関係を築き、学びの場における一体感を生み出すと信じています。
なるほど,南雲久好先生ありがとうございました。引き続きD組の医学部受験生たちにも熱意あるご指導をよろしくお願いいたします。
医学部専門予備校D組では現在の成績に関係なく10人程度の少人数クラスで南雲久好先生の化学の対面講義を受けることができます。少人数制だからこそ可能なきめ細やかな指導と、質疑応答の時間を豊富に設けることで生徒一人ひとりの理解度を深め、着実に実力アップを目指します。さらに、アットホームな雰囲気の中で周りの生徒と切磋琢磨しながら学ぶことができるのもD組の魅力です。