杏林大学医学部英語(2024年度/一般)-入試情報
出題形式
選択肢
試験時間
60分
難度(5段階)
3.2(標準)
分量(必要時間)
63分(標準)
合格に要する正答率予想
74%
大問数
4問
出題内容
[1]語彙・文法、[2]整序英作文、[3]文整序、[4]長文読解
求められているもの
文法・語彙、語整序・文整序、読解問題が中心であり、基礎的な語彙力や文法知識、速読力が求められる。標準的な難易度だが、文整序は与えられた選択肢をヒントに絞り込むことができず、自分ですべての順序を考えなくてはならないため、やや難しい。
※難度、分量、合格正答率は講師コメント・編集部推定。
今月は杏林大学英語の入試対策について、医学部専門予備校D組英語科講師の七沢英文先生にお聞きしました。
時間配分がカギ!英語試験で高得点を取るコツ
七沢英文先生よろしくお願いいたします。早速ですが近年の杏林の英語には特別な傾向はありますか。

杏林大学の英語試験は、形式・傾向ともに例年ほぼ変わらず、すべてマークセンス方式で実施されます。試験時間は60分、大問は4問です。
[1] 文法・語法・語彙系の4択空所補充問題(小問10問) 文法問題というよりも、語法や語彙・熟語の問題が多く、口語表現を問う問題が増えているのが特徴です。
[2] 語句整序問題(小問5問) 構文の知識があれば解ける問題が多く、中には意味が通るように語句を挿入するだけの問題も含まれます。
[3] 英文整序問題(小問5問、対話文1~2問含む) ディスコースマーカーに注意すれば順序が分かりやすい問題や、会話の場面が分かれば容易に正解できる問題が多いですが、時々難しい内容のものや、はっきり決められない問題もあるため、時間をかけすぎないよう注意が必要です。
[4] 長文読解問題(英文1と英文2に分かれ、それぞれ小問5問ずつ) 自然科学系の文と、それ以外の内容の文が組み合わされることが多く分量は300~400語の長文が2つです。語や語句の同意表現、空所補充、文挿入、内容真偽を問う設問が出題されます。
医学・医療系の英語長文・志の高い受験生への課題
七沢英文先生としては,その傾向にはどういった大学の意図が現れていると想像されますか。

制限時間は60分と短いにもかかわらず問題数が多く難易度にばらつきがあるため判断力と問題処理能力が問われる試験となっています。
また、語彙問題や整序問題では、実用英語の能力を測る意図があるようです。一方、読解問題では、論理的な読解力に加え前後関係から語句の意味を推測する力が試されると考えられます。
さらに、医学・医療に関する内容の英文が頻出するため医師になることを意識して学習している志の高い学生を求めているのではないでしょうか。
合格への道: 英語力を伸ばす学習プラン
現在,まだ合格水準に足りていない受験生が杏林医学部の合格水準に達するための努力としてはどういったものが考えられますか。
英語の試験対策では、語彙・文法・語法・構文・口語表現・読解と、幅広い分野をしっかりと学習する必要があります。
語彙は、一般的な単語集に加えて医学・医療系の単語集も同時に覚えるようにしましょう。文法・語法は、桐原書店の「頻出英文法語法問題1000」などを活用し、瞬時に正解を導き根拠を説明できるレベルまで繰り返し学習することをおすすめします。過去に指導した生徒の中には、この問題集を1年間で19周した人もいました。1日100問のペースで、2週間で1周できるので決して無理な量ではありません。
整序問題は、桐原書店の「英語頻出問題総演習」の第1章構文編を繰り返し学習しできれば英文を暗記しましょう。全600文ほどあるので、1日20文の暗記で、1ヶ月で1周できます。年末まで頑張れば8周することも可能です。
桐原書店の「ファイナル問題集(標準編)+(難関大学編)」はテスト形式で、各10回分収録されており、読解問題以外の対策に適しています。夏期以降に短期間で繰り返し解くことで効率よく学力を向上させることができます。各回の制限時間の半分で9割以上得点できるように訓練しましょう。
解説の
合格者の特徴:「まぐれ」なく、バランス型が多い
これまで杏林医学部に合格してきた受験生にはどういった特徴がありましたか。
私の経験では、杏林大学医学部の合格者に「まぐれ」はいなかったように思います。つまり、本来合格するべき生徒が合格していた印象です。また、杏林大学医学部に合格した生徒は、都内の旧設医学部にも合格する可能性が高いように思います。その証拠として杏林大学医学部に進学した教え子は意外と少ないのです(苦笑)。
杏林大学医学部の試験では、英語と数学の配点が高く(各100点)理科は各75点ですが、合格者は必ずしも英語が得意な生徒ばかりではありませんでした。むしろ全教科をバランスよく得点できる生徒が合格していたように感じます。
また、杏林大学医学部の試験日程は早いため後半に控える難関大学の合格可能性を測る指標にもなるはずです。そのため、志望順位の高低に関わらずしっかりと対策しておくことが重要です。
試験当日の心得: 集中力を高めるコツ
杏林医学部の入試当日に気を付けてほしい点はありますか。
試験当日は、受験会場に早めに到着することが重要です。これは杏林大学に限らず、どの試験でも共通するポイントです。起床してから約3時間が経たないと脳が十分に働かないため、余裕を持った行動が必要です。時間に余裕がないと焦りが生じるため落ち着いて試験に臨めるようにしましょう。
ただし、あまり早く到着しすぎると居場所がなく会場の外で待つことになる場合があります。早めに行く予定の人は、事前に早朝から営業しているカフェなどを調べておくと良いでしょう。
試験会場に入ったら、できるだけ早く自分の席に着き、周囲の環境に慣れることが大切です。友人とのおしゃべりはなるべく控え、確認事項を集中して見直す時間を確保しましょう。友人と話すことで不安を和らげようとする人もいるかもしれませんが、着席を促された瞬間に急に寂しさを感じ、不安に襲われることがあります。そのため、早めに自分の席に着いて集中力を高めることが重要です。
確認事項を情報カードなどにまとめている人は、チェックがスムーズに進むでしょう。試験会場で赤本(過去問)を開いているようでは、十分な準備ができていない証拠です。周りにそのような人がいたら、心の中で「君は受からないね」と思うくらいの自信を持って試験に臨みましょう(笑)。
最後の一年を悔いなく過ごすために
新学期を迎え受験勉強を本格的に始める受験生に熱いメッセージをお願いします。

受験まで1年といっても実際に勉強できる期間は5月から数えて約8ヶ月しかありません。4教科を単純に割ると1教科あたり約2ヶ月。短期間で仕上げるのは容易ではないため、一日一日を大切に過ごしましょう。学習内容を忘れないよう、丁寧な復習を心がけ、記憶を定着させるには反復が重要です。
学んだ内容はその日のうちに繰り返し見直し(できれば解き直し)を行い、夜寝る前に「夜ノート」にまとめて記録しましょう。翌朝すぐに見直すことで、記憶の定着が促されます。短時間で構わないので朝の復習を習慣化すると効果的です。
良い習慣が良い人格を作り人格が人生を左右します。将来医師として人の命を救いたい、病める人の支えになりたいという純粋な動機を日々確認しましょう。勉強に対するモチベーションが低下して成績が振るわず落ち込むこともあるかもしれません。そんなときは、机の前やペンケースに励みになる言葉を貼る、スマホの壁紙に設定するなど、やる気を取り戻す工夫をしてみてください。
受験に向けて悔いのないように準備を進めましょう。この1年が人生を決める大切な期間です。自分の限界に挑戦し、夢を現実のものにしてください。そして、受験を終えたとき、「頑張って本当に良かった」と思えるよう、未来の自分を想像しながら日々を積み重ねましょう。
シンプルな幸せ 読書と静かなひとときの大切さ
最後に七沢英文先生の「大切なもの」を教えてください。

自分にとって大切なものは、家族とか、友人とか、それほど特別なものではないです。強いて言えば、最近大切にしようと心がけているのは、自己回復の時間を取ることです。一日に1時間でも誰からも邪魔されずにリラックスできる時間が取れればストレスも溜まりませんし、発想も豊かになります。読書をする時間が取れればなおいいですね。
なるほど,七沢英文先生ありがとうございました。引き続きD組の医学部受験生たちにも熱意あるご指導をよろしくお願いいたします。
医学部専門予備校D組では現在の成績に関係なく10人程度の少人数クラスで七沢英文先生の英語の対面講義を受けることができます。少人数制だからこそ可能なきめ細やかな指導と、質疑応答の時間を豊富に設けることで生徒一人ひとりの理解度を深め、着実に実力アップを目指します。さらに、アットホームな雰囲気の中で周りの生徒と切磋琢磨しながら学ぶことができるのもD組の魅力です。